入試現代文のための要約(上)ー 2割でまとめる

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

こんにちは。

本日は、大学入試の現代文対策として行う要約学習について紹介させていただきます。

スポンサーリンク
Simplicity2レクタングル大

対象となる方と方法の概略

対象となる方

この学習法は大学受験を意識している高校生や、現代文の得意な中学生を対象にしています。ですから、国語が得意ではなく、特に「書く」ことが苦手だという方にはちょっと大変かも知れません。しかし、効果は保証できます。以下読んでいただき、やってみようかなと思うことができれば、ぜひ挑戦してください。

方法の概略

まず、教材は実際に大学入試として使われた過去問を用います。基本的には評論文です。力のある高校3年生ならば、センター試験の過去問や志望大学の過去問で使われている本文でもいいでしょう。そうでないならば、レベル別の問題集で、自分にとっては少し読みやすい程度の難易度の本文を選びます。それでも難しいようならば、高校入試や中学入試の説明文、論説文もいいでしょう。

次に、本文の大体の文字数を確認します。センター試験の問題集はこの点でおすすめです。どの業者が出版しているものであろうと本文を詳細に分析してあり、もちろん文字数も書いてあります。いろいろな意味で手間が省けます。入っている問題数も多く、値段も安い。二冊買って、一冊は徹底書き込み用、一冊はまっさらな状態での確認用としてもよいと思います。

本文の文字数がわかれば、その2割の文字数で要約するようにします。これがポイントです。単純なようですが、大学入試の現代文対策として行う要約学習では、この過去問の本文を使って2割でまとめる、というのが一番のポイントなのです。なぜでしょうか。

ポイント

過去問を使う

過去問の本文を使う、ということについては、それが現行の大学入試で読解することが求められるレベルの文章だからであり、また、大学の先生方が受験生に読ませたいと思う良質な文章だからです。

評論を読めるようになるためには、評論でよく扱われる話題について読み慣れていく必要があります。知らない話題について書いてあるものは読むのに骨が折れます。

過去問を使うにはまだ読解力が追いつかない場合には、簡単なものから始めて少しずつ語彙力をつけ、かつ評論特有の話題に慣れながら、過去問を使うことができるよう読解力を上げていきましょう。

2割に要約する

本文の2割という点については、2割程度の圧縮率が、本文の要点を押さえた上で本文の構成を要約に反映させることができるちょうどよい割合だからです。2割より圧縮しようとすると、一般的には、本文の構成までは反映させることができず、要点だけを記した「要旨」と言われるものになるか、かなり時間をかけて練り上げた要約をつくるかになります。前者では、現行の入試現代文の対策としては不十分ですし、後者は効率的ではありません。

2割を超えてくると、本文の分析が曖昧なままでも要点を落とすことが少なくなり、それなりの要約ができてしまいますので、おすすめしません。また、書く手間を考えると無駄が多すぎると思います。

二つの注意点

要約する上での大きな注意点は二つあります。

自分の言葉ではなく

一つは、自分の言葉を使わないようにすることです。これは、極力本文中の言葉を使うということです。できるだけ、本文を「そのまま」2割に圧縮するつもりで要約をします。作者の言葉を自分の言葉に直してしまうと、気づかないうちに作者の言いたいことから逸脱したり、自分の考えを混入させてしまいがちです。

わかりやすく

もう一つは、わかりやすく要約する、ということです。本文の言葉を使って要約するというと、本文中の重要語や重要な文を抜き出してきて、それらを羅列しただけの文章を書く人がいますが、それではいけません。接続詞などを使って、文相互の関係を明らかにしながら、まとまりのあるわかりやすい文章にする必要があります。

一般的に本文の要点を羅列したような要約になってしまう場合には、本文の論理構成を理解できていないことが多いように思います。具体的には、本文の意味段落相互の論理的関係が読み取れていないことが少なくありません。なお、意味段落とは、形式段落を意味上のつながりに基づいて、形式段落より大きくまとめ直したものです。要約をするときには、この作業が欠かせません。

やや精神論に傾きますが、わかりやすく要約するために、小学6年生の児童に本文を説明するつもりで要約してください、と私は生徒によく言っています。

精読としての2割要約

本文の2割で要約する、ということについてもう少し詳しく述べると、2割ぐらいの割合で正確に要約しようとするならば、本文の要点と構成が踏まえられていることになる、と上に書きましたが、実は、2割で要約しようとすると、この本文の構成を踏まえる段階で、構成という骨組みだけでなく、具体例や言い換えといった肉付けに当たる部分についても、ある程度この骨組みに基づいて整理し、要約中で若干触れる必要がでてきます。これが現代文対策として効きます。

現行の大学入試では、本文の精読が要求されています。言い方を換えれば、けっこう細かいところも設問になっています。本文の細かいところまで一つ一つ全て理解することを要求されているわけではありませんが、その細かいところが本文の中でどのような位置にあるのか、というところまでは理解を要求されている、と考えたほうがいいでしょう。

以上のレベルまで本文の要点と構成を理解し、細かい点についても整理できれば、そこで気づいた重要な点が、実は傍線部になっていたり、模範解答例で使われている解答要素だったりするものです。

最後に

本文の骨太な理解をして自分の中に知の蓄積を行いつつ、大学入試の細かい設問にも対応できるようになるために、過去問の本文を使った2割要約という学習法はとても有効です。

では、そのような本文の要点と構成を踏まえ、細部も外さない読み方をどうやってするのか、次回一緒に確認していきましょう。もっとも、そのような要約方法自体は、このようなブログを読んでいただいているみなさんならば、どこかで見た内容だとは思います。目新しいものではありません。しかし、一つのまとめとして参考にしていただければ幸いです。

スポンサーリンク
Simplicity2レクタングル大
Simplicity2レクタングル大

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする