現行の大学受験において「小説」を解くための学習法を紹介させていただきます。
この方法を試してみて、ここがうまくいった、ここがうまくいかなかったなどお知らせいただくと嬉しいです。
学習法と言いましても、基本的には「解き方」ではなく、解くための「読み方」です。そして、それは「評論」で言えば「要約」の仕方、「小説」で言えば「あらすじ」の書き方に当たると思います。以下、詳しく述べさせていただきます。
まず、「時間」が大きく変わるところで分けます。例えば、「三年後」とかあればその前で分けます。
「時間」の次は、「場所」が変わるところで分けます。「二人は庭に出た」とかあればその前で分けます。
「場所」の次は、「人物」が出入りするところで分けます。「A君がやって来た」とあればその前で分けます。
「人物」の次は、「心情」が変化するところで分けます。特に主人公の心情が変化するところに着目し、変化する前後で分けます。
優先順位は「時間」が最優先、次が「場所」、次が「人物」、次が「心情」です。あまり段落が細かく数多くなってしまうような場合、上記の優先順位に従って、相応の段落数にとどめてください。
これで、「評論」を解く場合で言えば、意味段落分けができたことになります。
次に何をするのかというと、「小説」なりの意味段落分けができた後に必要になるのは、その意味段落の中で主人公の心情を示すような表現に着目することです。これは、「評論」で言えば意味段落中のキーセンテンスにあたります。
あとは、その主人公の心情の変化を示す表現をつないでいくだけです。もちろん、ただ羅列しただけではまとまりがないものになってしまいますが、「評論」のキーセンテンスをつないでいくのよりはよほど楽なはずです。なぜなら、「評論」の場合は各キーセンテンス間の論理関係を理解しておかないと、本当にわけがわからない要約になってしまいますが、「小説」の場合はそれをあまり意識していなくても、けっこうわかるものになります。
主人公の心情の変化、つまり、ほとんどのケースでは心情はある特定の出来事に対して起こっているものですから、その出来事に対する心情の変化を追っていけば、だいたい読める「あらすじ」が出来上がります。
「時間」等に着目した意味段落分けを縦軸に、主人公の心情変化を横軸に、縦横にまとめていけば、だいたいポイントを押さえた「あらすじ」になっているものです。そして「受験小説」の問題になるところは、ほとんどの場合にそのような読みを背景にしています。ですから、このような読みができてしまえば、あとは、例えばセンターならば選択肢の解法、記述なら問いの狙いと書き方を学習すれば良いのです。
いかがでしたでしょうか。お役に立つような内容であれば良いのですが。
ご参考いただき、ご意見を頂戴できれば幸いです。